日本では地震や台風、豪雨災害など自然災害がとても多く、日頃から災害対策を行っておくことがとても重要視されています。2011年3月11日に起きた東日本大震災、2016年4月14日に起きた熊本地震、2020年7月に日本各地を襲った集中豪雨など、日本で起きたこれらの自然災害はどれも記憶に新しいものばかりですが、たくさんの人々の命が奪われたのと同時に、数多くの動物の命が失われたことを皆さんもご存じだと思います。
ペットも大切な家族の一員。自然災害から大切なペットの命を守れるのは飼い主さんだけなのです。いつどのタイミングで起こるか分からない自然災害ですが、命を守るためには、常日頃からの災害対策や防災グッズなどを用意して備えておくことが重要です。
そこで今回の記事では、突然襲ってくる自然災害から大切な愛猫を守るために今何ができるのかを考え、普段からやっておくべき備えや用意しておくと安心な防災グッズなどをご紹介していきます。みなさんもぜひ参考にしてみてくださいね!
起きてからでは遅い!シミュレーションで対策を
災害が発生したときに愛猫の命を守るためには、日頃から災害対策を行っておくことが大切です。例えば、避難指示を促されたときに避難所にペットを連れていくべきか、愛猫と離ればなれになってしまったら…こんな状況を想定して、もしもの時にどんな行動をとればいいのか事前に家族と相談したりシミュレーションしたりしておく必要があります。
状況整理と問題点の把握
まずは自分や家族と愛猫との状況を整理して災害が起きた時の問題点を把握しましょう。
・家の居住状況(戸建てかアパート・マンションか)
・ライフスタイル(家から職場までの通勤時間・距離)
・家族の行動パターン(学校や職場までの距離、いつもの帰宅時間など)
・愛猫の健康状態(持病はないか、飲んでいる薬、ワクチンの接種状況)
上記のように、自分たち家族の現在の状況を改めて確認し、これらを踏まえたうえで以下のような問題が起きた場合にどういった行動を取るべきかシミュレーションしてみましょう。
●日中は仕事で自宅におらず、愛猫が夕方まで留守番をしている
⇒災害が起きた時、自分はどうやって自宅まで帰るか考えておく
⇒家族に連絡を取って愛猫を保護してもらうことは可能か相談しておく
●災害が起きて避難指示が出されたとき、愛猫と一緒に避難できるか
⇒自宅近くに避難できそうな場所はあるか、ペットも避難所に受け入れてもらえ るのか事前に確認しておく
●愛猫が病気で療養中である
⇒避難期間中の薬は間に合うか、避難場所で愛猫の看病はできそうか、もし出来なかった場合にどうするかを確認しておく
このように、今置かれている状況と問題点を洗い出し、万が一災害が発生したときにどのような行動を取るべきなのかあらかじめ家族と日頃から相談しておくことが大切です。
災害ハザードマップと避難場所の確認
事前災害が多発している昨今、私たちの生活においても「災害ハザードマップ」という言葉をよく耳にする機会も増えてきました。災害ハザードマップとは、地震や洪水、土砂災害などの自然災害が起きた際に、被害規模を予測してその範囲を地図化したものです。
ハザードマップには主に洪水・内水・高潮・津波・土砂災害・火山などの種類があり、自分たちが住んでいる地域の被害予測範囲が分かるのと同時に、避難場所や避難経路に関する情報も知ることができます。各地域のハザードマップは国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」で簡単に確認することが可能です。
もしも災害が起きた時に自分の住んでいる地域はどのくらいの被害がありそうか、どこに避難場所にどの経路で避難すればいいのか、万が一の事態が起きた時に冷静に行動するためにも、前もってしっかり確認しておくと安心でしょう。
普段からやっておくべき備え
突然襲ってくる自然災害に対して、冷静に行動を取るためには普段から災害へ備えておくことが大切で、人間と同じように愛猫のためにもできる備えはたくさんあります。ここでは、今からでもすぐにできる、普段からやっておくべき備えを5つお伝えしていきましょう。
生活環境の見直し
まずは、地震などの災害が起きたときに倒れてきそうな家具はないか、落下して割れそうな物はないか生活環境の見直しをしてみましょう。
これまでに起きた大地震の中でも、倒れてきた家具の下敷きになって命を落としたり、割れた落下物でケガをしてしまったケースは非常に多いです。
こういった自宅内での事故を未然に防ぐためにも、普段から大きな家具は転倒しないようにしっかり固定したり、割れて危険なガラス製の物は高いところに置かないなど、普段から対策をしておくことが大切です。また、キャットタワーやキャットウォークなどの強度も定期的にチェックしておくと安心でしょう。
キャリーケースやリードに慣れておく
愛猫と一緒に避難所へ同行する際は、キャリーケースの使用が必須とされている場合が多いため、もしものためにも日頃からキャリーケースでの生活に慣れておくことが大切です。
また、ケースから出ても愛猫の動きをコントロールできるようにリードなどにも慣れておくと安心でしょう。キャリーケースは暗くて狭いので、入れておくのは可哀想と感じる方もいらっしゃると思いますが、猫はもともと暗くて狭い場所も得意な動物なので、それほど心配する必要はありません。
しかし、避難所での生活となると長時間ケースの中で過ごさなくてはならない状況になる場合もあるので、普段の生活で「ケースの中は安心して過ごせる場所」と慣れさせておくと、愛猫のストレスも軽減することができます。
ローリングストック
「ローリングストック」とは、災害が起きたとき用の非常食を日常的に消費し、食べたら足していくという行動を繰り返し、常に新しい非常食を備蓄していくという方法です。この方法であれば、普段から食べているものを災害時でも食べることができ、いつも通りの食事を安心して採ることができます。
猫はとても繊細な動物で、生活環境や普段の食事に変化があると大きなストレスを感じてしまいます。そのため、災害時でもいつもと同じご飯を食べるために、このローリングストックという方法が注目されているのです。
ご飯だけでなく、おやつや猫砂、ペット用シーツなども普段から少し多めに買っておき、消費したら買い足すことで消費期限切れなども防ぐことができ、もしもの事態が起きたときでも猫へのストレスをなるべく軽減することができるでしょう。
連絡先の入った首輪を作っておく
災害が起きて愛猫とはぐれてしまって探さなくてはならない…そんなときに役に立つのが、連絡先情報が記載された首輪です。飼い主さんの名前・住所・携帯番号などの連絡先や、愛猫の名前・かかりつけの病院の情報など、身元に繋がる情報があることによって避難途中にはぐれてしまっても後に再会できる可能性が高くなるでしょう。
また、万が一のときに備えて愛猫にマイクロチップを装着する飼い主さんも増えています。マイクロチップは15桁の番号が搭載されたとても小さな器具で、動物病院などで数千円~1万円程度で装着することができます。
マイクロチップを装着する一番のメリットは、迷子時や災害時にはぐれてしまった際に再会できる可能性が高くなること。実際に災害時に身元不明になったペットたちが、マイクロチップのおかげで飼い主さんと再会できたケースが非常に多いです。
現在、マイクロチップの装着については「努力義務」とされており強制ではありませんが、もしもの時に備えて装着の検討をしておくのもいいでしょう。
毎日の健康管理
災害が起きて避難所に行かなくてはならない場合や、飼い主さんとはぐれてしまったとき、ほかの猫と接触する可能性があります。ほかの猫と接触した場合、例えば、妊娠・出産をして飼い主のいない猫が増えてしまったり、感染症にかかったりといったケースもあります。
そのため、事前に去勢手術・避妊手術を行ったり、ワクチンの接種を検討しておくことも飼い主として大切な役割の1つです。手術やワクチン接種に関して不安のある方は、あらかじめかかりつけの動物病院の先生に相談してみてもいいかもしれません。
愛猫の為の防災グッズリスト
ここでは、万が一災害が起きて避難しなければならないときに、準備しておくべき愛猫の為の防災グッズリストをご紹介していきます。みなさんもぜひ参考にしてみてください。
絶対に持っておきたいもの
最低でも3日分以上は用意しておきましょう。ドライ・ウェットの両方があると安心です。★ 水
軟水を用意しましょう。★ フード・水を入れる食器
なるべく軽量で割れにくいものを選びましょう。★ キャリーケース・ハーネス
普段から使用しているものを使用すると猫も安心します。★ トイレ用品
普段から使用している猫砂やペットシーツを用意しましょう。
★ ゴミ袋・ウンチ袋
猫の排泄物を処理するために複数枚用意しておくと安心です。
★ 薬
愛猫に持病がある場合は忘れずに用意しておきましょう。
あると便利なもの
★ タオルや毛布
猫の防寒やベッド代わり、目隠しなどにも役立ちます。
★ おもちゃ
普段使用しているものを用意してあげましょう。
★ ガムテープ
簡易的な段ボールハウスなどを作るのに役立ちます。
★ 新聞紙
猫砂などがない場合、簡易トイレとして代用品になります。
★ 使い捨てカイロ
寒い時期などに防寒対策として役立ちます。
日々の備えが愛猫の命を守ります
もしもの事態が起きたときのために、普段から愛猫の為に防災グッズを要しておくことも大切ですが、普段から災害が起きたときのことを想定して避難経路を確認したり、地域住民の方との協力体制を築いていくこともとても重要です。
みなさんの近所には指定された避難所が複数個所あると思いますが、その避難所がペットの受け入れを許可しているか事前にチェックしておき、もし不可であるならば自治体や地域の方と相談してどういった対応をするべきか検討しておきましょう。
まとめ
今回の記事では、猫の命を守る災害対策として、飼い主であるわたしたちがどんな行動を取ればいいのか・普段からやっておくべき備えなどをご紹介してきました。
万が一のことが起きた場合、大切な家族の一員であるペットの命を守ってあげられるのは飼い主さんだけ。繰り返しになりますが、命を守るためには、常日頃からの災害対策や防災グッズなどを用意して備えておくことがとても重要です。
大切な愛猫を守るために今何ができるのかを考え、今回紹介した内容を参考に、みなさんもぜひ防災グッズの準備を検討してみてください。