「猫が最近下痢気味でどうしたらいいのかわからない…」
猫を飼ったことがある方でしたら、きっと誰しも一度は経験のあるこの悩み。昨日までは元気だったのに突然下痢をした、2~3日下痢が続いていて病院に行くべきか迷っている、このような体験をして困ったことがある方もいらっしゃると思います。
また、初めて猫を飼った方ですと、愛猫が突然下痢をしてしまったときにどのような対応をすればよいか悩んで心配になってしまいますよね。私も自宅で飼っている子猫が突然下痢をしたときはすごく動揺してネットで原因と対処法を見漁った経験があります。
この記事では、もし自宅で飼っている愛猫ちゃんが突然下痢気味になってしまったときに、わたしたち家族ができる対処法や、下痢をしてしまう原因について解説していきます。
猫の下痢の原因
猫の下痢は「猫がかかりやすい病気」の中の1つで、実は珍しい病気ではありません。特に子猫の場合は、ちょっとした環境の変化や食べものの変化ですぐにお腹を壊してしまうことも多いです。また、生まれつき下痢になりやすい体質の猫ちゃんもいます。
まずは猫が下痢をしたときに考えられる、下痢の原因について見ていきましょう。
子猫の場合
子猫が下痢をしてしまう原因には、感染症や寄生虫感染、食べものによる食あたりなどが考えられます。特にペットショップなどからお迎えした子猫は、集団生活によってウイルスや寄生虫に感染してしまっている可能性も少なくありません。
実際に我が家にお迎えした「ちょこ」もトリコモナスという寄生虫に感染していたことがあり、下痢が1週間くらい止まらない時期がありました。
子猫の場合は成猫よりも免疫力が少なく、脱水や体力低下になりやすいので心配であればすぐに動物病院を受診するようにしましょう。
- 猫汎白血球減少症
猫汎白血球減少症は別名「猫パルボウイルス感染症」とも呼ばれ、致死率の高いとても危険な病気です。体力のない子猫が感染してしまうと致死率は約70~90%ほどで、子猫から飼う場合は特に注意が必要になります。
下痢や嘔吐、発熱が主な症状で、ウイルスが付着したトイレやゲージ、水飲み場、食器などから感染します。
- 猫白血病ウイルス感染症
この病気はウイルスを持ったねこの唾液などから感染し、感染し病気を発症すると白血病やリンパ種、貧血、流産などを引き起こします。食欲不振や嘔吐、下痢、鼻水、体重減少などの症状が表れます。
- 猫エイズウィルス感染症
この病気は進行速度がゆっくりで、感染してもなかなか気づきにくいことが特徴の1つで、感染ルートとしてはウイルスを持ったねことの咬傷によることが多いです。
- 猫回虫
猫回虫という寄生虫が猫の小腸に感染して引き起こされる病気です。便の中に出た小さな回虫の卵が砂場などの環境下で成熟し、その状態の卵を猫が口にしてしまうことで感染したりします。また母子感染の可能性も考えられます。
寄生すると嘔吐や下痢、食欲の低下などの症状が見られ、場合によっては人に感染することもあるので注意が必要な寄生虫です。
- コクシジウム症
コクシジウムという原虫が小腸に寄生し増殖することによって引き起こされる病気です。基本的に猫同士で感染することが多く、集団生活を行っているペットショップや繁殖施設での感染率が高くなっています。
感染すると水様性の下痢になることが多く、症状が重くなると血便や脱水、栄養失調、体重低下などを引き起こす可能性があります。
- トリコモナス
トリコモナスという原虫が小腸や大腸に寄生し、慢性の下痢を引き起こす病気です。主に集団生活を行っているペットショップや繁殖施設で感染する可能性が高く、1歳以下の子猫から検出されることが多いです。
感染すると慢性的な下痢や軟便、血便などの症状があります。基本的には糞便検査で検出されますが、検出率がそれほど高くなく採取したての便でないと顕微鏡で発見するのは難しいと言われています。
成猫の場合
成猫が下痢をしてしまう原因には、食べものによる消化不良や食物アレルギー、異物の誤飲、感染症、病気などが考えられます。猫にも食べものの好き嫌いがありますが、成長過程で突然フードを変えると下痢になってしまったり、お散歩で外に出る頻度の高い猫だと、誤飲のせいで体調が悪くなる猫もいます。
- フードの変化
猫のフードにはドライタイプ・ウェットタイプ・缶詰などがあります。猫にも食べものの好き嫌いがありますが、今まで食べていたフードから新しいものに変えると、そのタイミングで下痢をしてしまう場合もあります。
フードを変えるときはいきなり食べさせるのではなく、前のフードに新しいもの少しずつ混ぜて、徐々に慣らしていくことが大切です。
- 消化不良
猫はミルクなどの乳製品を与えると消化不良で下痢を引き起こすことがあります。その為、与えるときは猫の健康状態を確認しつつ適切な量をあげましょう。(人間用の牛乳や乳成分の多いアイスなどは与えないでください)
- 食べてはいけないものを食べた
猫は食べてはいけないものをついつい口にしてしまうことがあります。例えば、玉ねぎなどのネギ類、チョコレート、にんにく、アルコール、植物など。もちろん興味本位で与えるのはもってのほか、猫が絶対に口にしないように注意しましょう。もし食べてしまい下痢をしてしまったら命の危険にさらされることもあるので、体調が回復しない場合は迷わず病院に連れていきましょう。
その他の原因
上記で紹介した原因のほか、環境の変化によるストレスや病気などによって下痢をしてしまう猫もいます。例えば、引っ越しなどで住む場所が変わった・移動で長時間隔離されていた・慣れていない人と長時間過ごしたというような環境の変化は、猫にとって強いストレスに感じ、下痢だけでなく嘔吐や食欲の低下などの症状が見られる場合もあります。
ストレスなどによる下痢は一過性の可能性もあるため、猫が安心して落ち着ける環境を作ることと、室内の温度を適温(20℃~25℃前後)に保つことを心がけましょう。
猫の下痢の種類
猫の下痢といっても便の状態には違いがあり、愛猫の体調変化にいち早く気づくには日ごろからの便チェックが欠かせません。
ここでは猫の下痢の種類について学んでいきましょう。
水様便
水様便は猫の下痢の中でも水分量が一番多く、ほとんど液体状の便のことをいいます。
猫の便の正常時の水分の含有量は約60%~80%といわれておりますが、水様便になると90%以上になります。水様便になっている場合は、感染症にかかっていたり、重大な病気にかかっている可能性も考えられるため、すぐに病院に連れて行くようにしましょう。
また水様便によって脱水症状を引き起こす場合もあるので、お水は常にきれいな状態を保ち、水分不足にならないように気を付けましょう。
軟便
軟便は水様便と比べて水分の含有量は減り、泥状になる便のことをいいます。
泥状でも水分の含有量は80%~90%ほどで、触ると簡単につぶれたり、半固形状で持ち上げるとトイレの砂に便の形が残ったりします。軟便になっているときは、精神的にストレスを感じていたりフードが合わなかったりする場合が多く、一過性の症状であることがあります。また、服用している薬の副作用でも軟便になるケースがあります。
軟便になっていても食欲があって元気なときは様子を見ても問題ないでしょう。
血便
血便は文字通り便に血が混ざっている状態のことを言います。
血が混ざっている場合は肛門に近い大腸から出血している可能性が高く、腸の炎症や食物アレルギー、毛づくろいによって飲み込んだ毛の詰まりなどさまざまな原因が考えられます。血便は下痢だけではなく便秘になっているときも現れる症状です。
また鮮血が混じるだけでなく、黒いタール便が出る場合もあり、こちらも血便の一種です。血便が続いている場合は緊急性の高い病気を引き起こしている可能性もある為、迷わず病院へ連れて行くようにしましょう。
猫が下痢をしているときの対処法
愛猫がもし下痢をしてしまったら、まずは下痢になってしまった原因と適切な対処をすることが大切です。本来であれば、病院へすぐに連れて行ってあげることが一番いいのですが、仕事の都合で行けなかったり、病院の営業時間が過ぎていたりする場合もあると思います。
そこで、ここではわたしたち飼い主にもできる対処法・注意すべきことを5つご紹介します。愛猫が下痢になってしまったときに困らないよう、しっかり確認しましょう。
猫の便や健康状態をこまめに観察
猫が突然下痢になってしまったら、飼い主であるわたしたちも動揺しますよね。
ですがここで大切なのは、冷静になって猫の便や健康状態をこまめに観察することです。例えば、便の状態(色・形・硬さ)やトイレに行く回数、便に何か混ざっていないか、元気があるかないか、食欲はあるか、嘔吐はしていないかなど。
なお、便はすぐに捨てずに病院へ持っていくために保管しておく・携帯で写真を撮っておくなどをしておくと診察の時に役立ちます。
ごはんの量を変えてみる
下痢をしていて食欲がない場合は、ごはんの量を変えてみたり、消化の良いフードに変えてあげるなど工夫してみましょう。子猫がフードを食べにくそうにしている場合は、少しふやかして与えてあげたりして腸を休ませてあげることも大切です。
また、絶食させてしまうと症状を悪化させる原因にもなるので、様子をみながらごはんを与えるようにしましょう。
脱水にならないよう水分補給は忘れずに
猫が下痢をしてしまったときは、大量の水分が排出されてしまうので脱水症状を引き起こしやすいです。特に子猫の場合が、体が小さく免疫力が少ないので脱水になると命の危険が高まりやすくなります。ですから水分補給は欠かさずに行うようにし、もし飲めないようであれば病院に連れていき点滴などの処置を行ってもらうようにしましょう。
トイレ掃除を頻繁におこなう
もし猫が寄生虫によって感染症を引き起こしてしまった場合、トイレの掃除は欠かさず行うようにしましょう。なぜなら、感染症にかかった猫がトイレで排便をし、そのあとにそのままお尻を舐めてしまったり、便に触れた手足を舐めてしまったりすると再び感染し、負のサイクルに陥ってしまうからです。
特に感染率の高い感染症にかかると、治療をして薬を飲んでも完治までに時間がかかってしまうので、常にきれいなトイレを保てるように掃除は頻繁に行うようにしましょう。
人間用の薬・自己判断での投薬は絶対NG
当たり前のことですが、市販されている人間用の下痢止めを与えるのは絶対にNGです。また、以前に動物病院で処方された残りを薬を自己判断で投薬するのもやめましょう。
猫の下痢にはさまざまな原因があるので、一度与えられた薬でも効果がない可能性があります。ですから薬を処方してもらう場合はその都度病院へ行って診断してもらい、症状に合った薬をもらって与えるようにしましょう。
迷ったらすぐに病院へ
猫の下痢は体の体調不良にいち早く気づける大事なサインです。
上記では猫が下痢になったときにわたしたち飼い主ができる対処法をご紹介しましたが、やはり飼い主にもできることは限られてしまいます。
「初めての下痢でどう対処すればいいかわからない」「下痢が数日間続いていて良くなる傾向が見られない」そんな場合は、迷わずすぐに動物病院へ連れていき、お医者さんに見てもらいましょう。
病気の原因を早期発見・診断できれば愛猫の命を守ることができます。
病院に行く際は、猫の便を忘れずに持っていくようにしましょう。採りたてホヤホヤの便であれば、発見率の低い感染症なども見つかりやすくなります。
今回は猫が下痢になったときに考えられる原因や下痢の種類、下痢をしているときの対処法をご紹介しました。猫が突然の下痢になってしまったときは、わたしたち飼い主も動揺して心配してしまいますが、まずは冷静になり、自分たちにできることを試してみましょう。
また、下痢にならないように普段から環境の変化や食事に気を付け、なるべくストレスを与えないように心がけて過ごすことも大事です。
大切な家族の一員である愛猫ちゃんと楽しく暮らすためにも、万が一下痢になってしまったときの対処法をしっかりと学び、幸せな猫ちゃんライフを過ごしてくださいね!